「裸の大将」として親しまれた画家山下清(1922~71年)の代表作を集めた 「放浪の天才画家・山下清展」が加古川総合文化センター(加古川市平岡町)で28日から開催している。 少年期に描いた昆虫や施設内の生活風景。貼り絵を学んで夢中で描いた清の心理がうかがえる。18歳から 15年間全国各地を放浪した青年期では、旅した風景や時代を彩る軍艦や兵隊さんなど戦時中の物資が不足しているころには 色紙の代わりに切手を使って描いた作品も並ぶ。旅に出たリュックサックや浴衣など遺品も展示され 清の放浪生活が伝わってくる。
代表作となった「長岡の花火」(1950)は、暗闇に咲く大輪の花火と川面に映る花火、それを見入る人々を 緻密に描かれている。「桜島」「金町の魚つり」このころの作品はどれも、色彩豊かで色調も繊細でやさしい。 貼絵、ペン画、油彩、水彩画、版画。貼り絵に代表される山下清だが、ヨーロッパ旅行(1961)では 各地の名所をいろいろな画法で絵に残している。 大勢の人を魅了する山下清の作品とは、清が通った軌跡そのものが、彼の記憶であり出会いの数々 その轍は消して色あせることなく、作品を見る人たちの心の中に宿る。 (2018.7.29)
